甘えてすり寄ってくる猫の鳴き声には、本当に癒されるものです。
時々、人間の言葉をしゃべっているのではないかと思わせる子もいますよね。
我が家には、歴代三匹めの家ネコにあたるキジトラがいますが、呆れるくらいにおしゃべりです。
猫は飼い主さんが話しかけると、まるで相づちを打つかのように短めに鳴いたり、愚痴を言うと黙って聞いてから、最後に慰めるように高めの声で鳴いたりと、そのバリエーションは実に豊富です。
どうやら、猫の鳴き声と一言でいっても伝えたいことを、鳴き声の長短やトーンの高低などで使い分けているようですね。
と、なると肝心のその意味や気持ちを詳しく知って、もっと猫との会話を楽しみたくなってきます。
それではこれから、猫語をマスターするべく猫の鳴き声が持つ意味や感情について、より知識を蓄えていきましょう。
猫の鳴き声には、たくさんの種類とちゃんとした意味がある!







猫の鳴き声には実に様々な種類があり、もちろん、それぞれ違った意味を持っています。
猫の鳴き声は10種類以上あると言われており、中にはなんと60種類にも及ぶという説もあるとか。
まさに諸説様々ですが、鳴き声の種類が豊富であることに変わりありません。
更に、おとなの猫同士では、鳴き声でコミュニケーションをとることがほとんど無いことから、人間の前でだけ使い分けている、との報告もあります。
愛猫家の皆さんは、とっくにご存知かもしれませんね。
恥ずかしながら、十年以上ネコと暮らしてきた割には、最近になってこの事を知りビックリしました。
てっきりネコたちは「人間と猫の境界線なんて、気にしていない」と思い込んでいたのですが、全くの勘違いだったようです…。

さて、猫に限らずペットの大切なコミュニケーション方法の一つである鳴き声ですが、やはり大体は飼い主に対して何かお願いしたり訴えたりしているようです。
よく聞く鳴き声は「ミャー」や「ニャーン」ですね。
この場合は上記のとおり、飼い主に「ご飯が欲しい」「遊んで欲しい」と、お願いしているときや気を引きたいときです。
猫といえば、ゴロゴロ音もかなりメジャーな鳴き声だといえますが、これは甘えていたり、リラックスしている証拠としてとらえられがちですよね。
しかし、具合が悪いときや緊張しているときにも発することがありますので、よく観察してあげることが大切です。
「シャー!」という鳴き声も怒っていたり威嚇を表すことでよく知られいますが、こちらも機嫌を損ねた時以外にも居心地が悪かったり、怖がっていたりといったケースもあります。
どちらの場合も、鳴いているシチュエーションやご機嫌に注意が必要です。
更にクラッキングと呼ばれる「カカカ」「ケケケッ」という変わった鳴き声を出すこともありますが、これは鳥など獲物を見たときに発する鳴き声です。
独特な鳴き方ですよね。
初めて聞いたときは、喉に抜け毛でも詰まったのかと慌ててしまいました。
実際の狩りの場では、この様な鳴き声を出してしまうと獲物に感付かれてしまうため、発することはないそうですが納得です。
これは、獲物を目前にしながら手を出せないジレンマゆえの鳴き声なのではないかと言われています。
確かに、我が家のキジトラも窓から外を眺めているときに「カカカッ!」と言っていますが、いざ庭に出ると静かに獲物へと近付いていきます。
猫じゃらしなどのおもちゃに対しても、無言でじりじりと間合いを詰める動きをしますが、ちょうどあんな感じですね。
猫はボディランゲージも豊富ですので、鳴き声だけでなくありとあらゆるサインを送っています。
猫の鳴き声が持つ意味をより深くお話ししながら、後にそのようなサインについても触れていきますね。



猫の鳴き声で気持ちがわかる!「長い」とき「短い」とき?




では猫の鳴き声の、その長短がもつ意味と感情について詳しく説明していきましょう。
簡単に分けますと、このような違いがあります。
★猫の鳴き方の違い
- 長めに鳴く時は、主に欲求を表現
- 短めに鳴く時は、主に感情を表現
例えば、ご飯のお皿の近くや、トイレのそばで、「ニャー」と長めに鳴いているときは「ご飯がないよー!」「トイレのお掃除してー!」と、この様に何かお願いを表している場合です。
「ニャッ」と短く鳴いているときは「おはよう!」「はーい」といった、挨拶や返事をする場合であり、長短で上手に使い分けているのです。

挨拶にしても、ネコちゃんの名前を呼んだときの返事にしても、いずれも飼い主さんに対して親しみや好意を込めているようですよ。
長めに鳴くときは猫側からの欲求の発信、短めに鳴くときは飼い主への返答という受信的な役割とに分けて使っている、といえそうですね。




猫の鳴き声で気持ちがわかる!「低い」鳴き声のときは?





これだけバリエーション豊富な鳴き声であれば、そのトーンの高低も気になります。
一般的に、低い鳴き声はこの二つを意味しているようです。
★低い声で鳴く理由
- 威嚇している、または不安である
- 強めにアピールしたり訴えている
トイレタイムは、動物が無防備になることから、敵を警戒するあまり不安な気持ちになりやすく、猫もまた例外ではありません。
家ネコとはいえ、野生の本能が、低く鳴くことで不安を訴えさせているということですね。
また、飼い主さんに「もうやめて!」と強く抗議したり、同居猫に「そこをどいて!」と主張したいときにも低い声で鳴きます。
同じ低い声でも唸るように鳴くことがありますが、例えるなら「ウー、ンー」という感じですね。
これもまた威嚇の表現方法の一つですから、不平不満を取り除いてあげるよう十分な気配りが必要となるでしょう。
(ポチたま)意外と分かりやすい…、けど、高い声のときも知っておきたい!
参考までに高低の差を大雑把に分けますと、この2つがポイントであることが多いようです。
★2つのポイント
- 高めの声は、ポジティブな要求
- 低めの声は、どちらかというとネガティブな要求
高い声のときは興奮度にも比例してるとされていますが、確かにうちのキジトラも、同じ文句をいうにしても高い声でミャーギャーいったり、逆に口のなかでムニュムニュとくぐもった低い声を出すときもあります。
こういった「同じような感情を表現する場面での、鳴き声の使い分けは?」というと、低めの声で文句をいうときは独り言に近い愚痴のようなもので、高めの声での文句は「もう我慢できない!」というような抗議に近いもののようです。




猫の鳴き声で気持ちがわかる!「喧嘩」の時の鳴き声




猫同士の喧嘩は、なかなか凄まじいものがありますね。
これから猫を飼う予定の方や、喧嘩している場面に遭遇したことがない方でも、その凄まじさは飼育本やネットの検索などから知識としてご存知かと思われます。
広く知られているのは春先にみられる成猫のオス同士が争う場面ですが、縄張り争いの場面なども、よく動画でアップされていますね。
喧嘩のときの鳴き声は「グゥウーッ」「シャーッ」といった低い威嚇の声から始まります。
このときの猫の様子は毛が逆立っており、非常に興奮していることが明らかです。
そのうちに鳴き声は高くなり「マーオ!」「アオー!」と、まるで赤ちゃんが雄叫びをあげているかのよう。
最終的には「ウァオオ!ギャロオオウ!」と大きな声で鳴きながら、取っ組み合うのですが、前フリというのでしょうか、どちらが大きな声で威嚇できるかのたたかいが、本っ当に長いです!
人間で例えるなら
「やるのか、こら!」
「そっちこそ、かかってこい!」
こんな感じでしょうか。
猫は本来、喧嘩自体を避ける動物ですから、縄張り争いといった場面以外では、きちんとした理由や原因がない限り、わざわざ喧嘩を始めることはあまりありません。
この傾向は野性動物であった名残からきています。


なぜなら、常に喧嘩ばかりしてしまうと命が幾つあっても足りない、という危機感を持っているからなんです。
これはなにも猫に限ったことではないのですが、猫自体がもともとは群れることの少ない単独行動を好む動物です。
そのため他の猫たちと同じパーソナルスペースにいることでとてもストレスを感じやすく喧嘩に発展してしまうのですね。
うちのキジトラは現在、コリー犬と暮らしていますが、普段は仲が良くても、何かの拍子に喧嘩し始めるとまさにトムとジェリーのアニメそのものです(笑)
本当にアニメのようだなと思うのは、両者とも猫同士の喧嘩のような、大きな鳴き声を出さないんですよね。
我が家のケースでいえば、両者ともほぼ無言。
足音や、ものを引っくり返す音だけがやたらと騒々しいことが特徴的です。
それにしても猫同士がお互いギリギリまで顔を近付け合い、大きな鳴き声を出して威嚇を始めた時点で、飼い主さん側としてはハラハラしていまいます。
ですが、喧嘩を止めるには手を出すよりも大きな音を出す方が無難ですし、なにより効果がありますよ。


猫の鳴き声を翻訳するアプリを試してみた!




いまや猫語を翻訳するだけではなく、人間の言葉を猫語に訳すアプリも開発されています。
こうなると一方的なアプローチだけでなく、立派なコミュニケーションツールとして使えますから愛猫家にはたまらないアプリと癒えますね。
気軽にダウンロードできますので、一度試しておきたいところです。
もちろん私も試してみました。
我が家のキジトラの反応は上々ですが、アプリのレビュー欄をみると、やはり個体差が大きいようです。
「どうやら侮辱してしまったかも?」「激怒された」など思わずクスッとしてしまうレビューもあり、飼い主さんが楽しむには申し分ないのですが、かといって猫にとってストレスを与えてしまう可能性もなきにしもあらず。
くれぐれも、猫の様子やご機嫌を見ながら使うことが大事ですね。
アプリ自体がどんなに優秀でも、つかう飼い主さん側が非常識な使い方をしてしまえば、猫にとっては迷惑以外のなにものでもありません。
例えアプリが反応しなくても、猫に嫌われる、嫌がられるなどの反応をされては本末転倒です。


ごく当たり前なことなのですが、雑音や人の声が入らないような環境で使わないと私のようなケアレスミスをする人も結構多いようですよ。
キジトラの言葉を翻訳するはずが、うっかり父のあくびを翻訳してしまったりと余計なことをしてしまったのです。
が、人間のあくびを翻訳させた経験からいうと、言葉そのものではなく、やはり「鳴き声のもつ高低差や強弱によって、感情を読み取ることで翻訳しているんだなぁ」ということ。
仕事で疲れ気味の父のあくびには「ねぇ早く遊ぼうよ」という意味があったようですので、翻訳アプリは、なかなか正確かもしれません!


猫の鳴き声がうるさい理由とその対策は?



路地裏や自転車の上で昼寝している猫たちの、いわゆる地域猫を紹介する写真集もいまだに人気がありますが、近頃は以前に比べてめっきり野良猫も見かけなくなりました。
必然的に、室内飼いの猫の方が、現在では多くなったといえますね。
喧嘩で大きな鳴き声をたてるような場面は、室内で飼っている猫よりも屋外にいる猫によく見られがちです。
しかし、室内飼いの猫なら全く大声を出さないというわけではありませんから、特にマンションなどの共同住宅となると何かと気を使うことが多いものです。
大声を出して飼い主さんを慌てさせる、室内飼いの猫たちに重点をおいて例をあげますと、以下の理由から思い切り大声で鳴くことが多いのです。
★主に大きな鳴き声を出す時
- 子猫は三ヶ月までは、お世話を焼いてもらって当然と思っている
- なにかお願いをする時に、強く気を引きたい

大声対策として有効なのは、飼い主さんが文字通りの猫可愛がりをしないこと。
大声で要求することが通ってしまうと、そのまま学習してしまい、何度も繰り返すようになります。
ですから、大声で鳴くのを諦めて静かになったタイミングで要求に応じてあげると、猫も大人しくしていることが得をすることを覚えてくれます。
子猫に限定したわけではなく、やはりしつけは最初が肝心ですね。
いちばん気を付けてあげたいのは、具合が悪い、痛いところがあるなど、普段と違う鳴き声を出したとき。
大きな声で教えてくれるとは限りませんから、よくシチュエーションや動きにも気を配ることが大切です。


まとめ




猫は鳴き声だけでも十分おしゃべり上手ですが、しっぽの動かし方や、まばたきの仕方、耳やヒゲなども実に多弁です。
しっぽをピンと立てていても、緊張しているときは先端をピクピクと動かしますし、甘えたいときはそのまま頭を擦り寄せてくるなど、鳴き声と同様に様々な意味を持たせて使い分けています。
ヒゲでいうと緊張するにしたがって上向きで直線的になることが多く、リラックスしているときなど気持ち的にも穏やかなときはフニャッとしていることが多いです。
またゆっくりとまばたきしているのは愛情表現であり、鳴かなくてもまばたきすることで返事をしたり、聞いてるよ、という合図を送っています。


鳴き声と、このような身体の動きとを合わせることでより一層、猫語の上達が期待できるでしょう。
最後に、どうやら猫はおしゃべり上手でもあり、意外と礼儀正しいようですから、飼い主さんもまばたきで挨拶を返したり、鼻先をくっつけ合って愛情を確かめたりとお互いに思いやりを表現するとネコちゃんと今よりずっと仲良く、そして長く暮らしていけますね。


参考文献 『How to Speak Cat: A Guide to Decoding Cat Language(ネコとのしゃべりかた)』
ゲイリー・ウェイツマン博士・ほか
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